水戸の夜。黒い花びらとイチジクの葉。
去る土曜の夜、水戸市・南町のB2で開催された『前園直樹グループと安藤明子のうたとことば。』へお越しくださった皆さま。どうもありがとうございました。
ワールドカップ・日本戦の真っ最中でしたが、限定50の座席は、おかげさまで無事に埋まりまして。共演の安藤明子さん、主宰の菅谷元さん、フライヤーを作成してくださった猪狩さんにも、心から感謝しております。そして、会場となったビー・セカンドのスタッフの皆さまにも。とても綺麗な、雰囲気のよい、音のよい空間で演奏させていただきました。
安藤さんの歌。ギター。素晴らしかったです。
今年の2月に東京で開催した『真夜中の前園直樹グループ。』にも出演していただきましたが、僕はその時、出店していたレコード屋の店番をしているうちに、聴き逃してしまっていたのでした。止むを得なかったとはいえ、それが、とても悔しくて。
だから今回の安藤さんのステージは、個人的にも、待望のステージとなりました。感想は、ひとこと。大満足。
そこには、安藤さんがひとりで奏でるべき、歌うべき音楽がたしかに在りました。
僕たちは、というと。
僕たちも、三人で奏でるべき音楽を、安藤さんと比べれば不安定ながらも、それでもやはり、皆さんにお届け出来たかと思います。
反省の仕様も判らないのですが、ライヴ前日に弦を切ってしまったせいで、僕のギターが、かねて以上に不安定だったことが、痛かった、かな。
(演奏中に、それがマイナスの方向に作用していることに気付いて、申し訳ない気持ちになってしまった。。。)
ステージを囲むように配されたテーブルにお客さまが着いて、お食事とお酒を楽しんでいただきながら、ゆっくりと流れていった時間。水戸は本当に好きな街。水戸に暮らす人々も大好きなので、きっといつかまた、土曜の夜のようなひとときを、ご一緒したいものです。
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写真は、ひとりで乗った、帰りの常磐線・スーパーひたち車窓ぎわの景。乗車直前、泊まっていた宿の向かいにある古書店で<うっかり>買ってしまった雑誌「マンハント」のバック・ナンバーを肴に、ウイスキーを嘗めながら帰りました。
1959年12月号には、永六輔によるミニ・コラム『黒い花びらとイチジクの葉』収録。中村八大と「黒い花びら」を共作した或る夏の出来事。二人の仕事場となった八大先生のアパートには、作詞家、作曲家の他に、創唱者である水原弘も居合わせたのだった――僕はこの小文を読んで初めて、伝説的な名曲誕生の現場に、作者以外の<もうひとり>が居た、という事実を知りました。
完成版の詞、とは明記されていませんでしたが、原稿用紙に書かれた、文字の連なりを読んだ水原の、次のひとこと。
「ごきげんな詩ですね!安っぽくて!」
が、なんだか痛烈に響いて。(括弧内、<詩>は原文ママ)
車中、小さな声で「うわあ」と呟いてしまったのでした。
中村八大がピアノを叩くあいだ。永六輔が原稿用紙に向かっているあいだ。水原弘はトイレで、ずっと「マンハント」を読み耽っていたというくだりも印象的だったけれど。
とにかく、僕が<昭和>を強く感じるのは、こんなエピソードを読んでしまったとき。
(前園)



